映画「若き見知らぬ者たち」をシニアが観た時の感想

2024年10月11日劇場公開

映画「若き見知らぬ者たち」のシニアおススメ度

亡くなった父の借金を返済し、難病を患う母の介護をしながら、昼は工事現場、夜は両親が開いたカラオケバーで働く風間彩人。

父の背を追って始めた総合格闘技の選手となった弟の壮平も、借金返済と介護を担いながら、練習に明け暮れる日々を送っている。そんな息の詰まるような日常のなかでも、恋人である日向との小さな幸せを掴みたいという思いが、彩人のかすかな希望だった

。しかし、彩人の親友である大和の結婚を祝う幸せな宴会が開かれた夜、思いもよらない暴力によって、彼らのささやかな日常がもろくも奪われてしまう

本稿は試写観覧後に記入しています。

観覧後に暗い気持ちがこんなにも長続きする作品を久しぶりに味わった。父親の借金を背負い、難病の母を抱え希望のない？青年が、親友の結婚式当日に意味のない暴力で殺害されてしまう。弟は総合格闘技でチャンピオンになるが。

なぜ兄は殺されたのか、理不尽さだけが残る。現場処理した警官の態度も自分たちの正当性だけを主張していいかげんだ。残された弟、兄の恋人、母親はそれでも生きていこうと前を向く。

あえて生きるんだというような表現はなく毎日の生活をこなしていくことで物語は終わる。その静けさが人々の叫びを観客に植えつけている。筆者のような老人では耐えられそうもない。

磯村勇斗（兄、彩人）のおさえた演技が、今後に期待を抱かせる。恋人役の岸井ゆきのも相変わらず地味だが光る演技をしていたように思えた。