映画「よだかの片想い」をシニアが観た素朴な感想

(C)島本理生/集英社 (C)2021映画「よだかの片想い」製作委員会

 2022年9月16日劇場公開

映画「よだかの片想い」のシニアおススメ度

映画「よだかの片想い」のあらすじ

女子大生の前田アイコは、顔の左側に大きなアザがある。

幼い頃から畏怖やからかいの対象にされてきた彼女は、恋や遊びはすっかりあきらめ、大学院でも研究ひと筋の毎日を送っていた。

そんなある日、「顔にアザや怪我を負った人」のルポタージュ本の取材を受けて話題となったことで、彼女を取り巻く状況は一変。本は映画化されることになり、監督の飛坂逢太と話をするうちに彼の人柄にひかれていく。

飛坂への片思いを自覚したアイコは不器用に距離を縮めていく一方で、自身のコンプレックスとも正面から向き合うことになる。

映画「よだかの片想い」をシニアが観た素朴な感想

本作が終了したとき、突然、筆者は60年ほど前に小学校の学芸会で上演された「よだかの星」を思い出した。なぜだかはわからない。

原作は宮沢賢治の初期の作品で差別やいじめに絶望した主人公が夜空に輝く星になるというものだったと記憶している。

この映画でも顔面に痣のある前田アイコという主人公が、痣のために消極的だった自分を、あるきっかけで前をしっかり見つめて力強く生きていく人物に変えていく。最後は絶望ではなく生きる希望があふれるような場面で終了するのが、老人には喜ばしい。アイコが変わっていく過程や理由は個々人でスクリーンで確認してほしい。

少しドキュメンタリー映画のような進行だなと思ったが、主人公の内面の変化がとらえられていて、面白いと思った。

主演の松井玲奈以外見知った俳優はいなかったが、そのこともスクリーンにのめりこむような鑑賞を行わなかった一因かもしれない。最後まで冷静さを失うことのない作品だった。

映画「よだかの片想い」のキャスト

前田アイコ
松井玲奈

飛坂逢太
中島歩

ミュウ先輩
藤井美菜

まりえ
織田梨沙

原田
青木柚

映画「よだかの片想い」のスタッフ

監督
安川有果

原作
島本理生

脚本
城定秀夫

製作
狩野隆也 松岡雄浩 宇田川寧 周防亮

エグゼクティブプロデューサー
服部保彦

プロデューサー
石川真吾 柴原祐一