映画「トゥルーノース」をシニアが観た素朴な感想

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2021年6月4日 劇場公開

映画「トゥルーノース」のシニアおススメ度

映画「トゥルーノース」のあらすじ

1950年代から始まった在日朝鮮人の帰還事業により北朝鮮に渡ったヨハンの家族は、両親と幼い妹とともに金正日体制下の北朝鮮で暮らしていた。しかし、父親が政治犯の疑いで逮捕されたことにより、母子は強制収容所に入れられる。

極寒の収容所での苛烈な生活に耐え忍びながら、家族はなんとか生き延びていたが、収容所内の食料確保によるトラブルによって母が殺害され、自暴自棄となったヨハンは次第に追い詰められていく。そんなヨハンは、死に際に母が遺したある言葉により、本来の自分を取り戻していく。

映画「トゥルーノース」をシニアが観た素朴な感想

本作は3Dアニメーションの手法で制作されている。いわゆる「強制収容所」内での人々を描いた作品だ。観覧後の印象はすさまじいの一語に尽きる。自由に社会や政府を批判することができない社会、また批判したばかりに迫害される人々、それに連座して理由もなく警察に連行される人々。そのような社会を描いている。

実写だと途中で退席する人もいただろう。しかし内容は観客に人間の本質を訴えかける作品に仕上がっている。苦しい生活の中で「生きていく意味」を持ち続ける人だけが生き延びることができる。この言葉が心に響いてくる。

希望を持てない世界で主人公たちはどう過ごしていくのか?「生きていく意味」を観客全てに考えてもらいたいというのが監督の意図かもしれない。作品中に音楽が多用されているが特に「赤とんぼ」のさみしい楽曲が心にしみる。

本作は世界の各種の映画祭で賞を受賞しているが、各国の人々も「生きていく意味」を作品中に見出せたのだろうか。筆者としてもいろいろと考えさせられた。

映画「トゥルーノース」のキャスト

ジョエル・サットン
マイケル・ササキ
ブランディン・ステニス
エミリー・ヘレス

映画「トゥルーノース」のスタッフ

監督 清水ハン栄治
製作 清水ハン栄治
制作総指揮 ハン・ソンゴン