映画「桜色の風が咲く」をシニアが観た素朴な感想

(C)THRONE / KARAVAN Pictures

2022年11月4日全国劇場公開

映画「桜色の風が咲く」のシニアおすすめ度

映画「桜色の風が咲く」のあらすじ

世界で初めて盲ろう者の大学教授となった東京大学先端科学技術研究センター教授・福島智さんと母・令子さんの実話を基に描いた人間ドラマ。

関西の町で教師の夫や3人の息子とともに暮らす令子。幼少時に失明した末子の智は家族の愛情に包まれて天真爛漫に育ち、東京の盲学校で高校生活を送るが、18歳の時に聴力も失ってしまう。

暗闇と無音の世界で孤独にさいなまれる智に希望を与えたのは、令子が彼との日常から考案した新しいコミュニケーション手段「指点字」だった。母子は勇気を持ってひとつずつ困難を乗り越え、人生の可能性を切り拓いていく。

映画「桜色の風が咲く」の感想

本作は盲ろうの男性(智)と彼を支え続けた母親(令子)、そして家族の物語だ。幼少時に視力、青年期に聴力を失くした智との意思疎通の手段として考案された指点字がアクセントになっている。

令子は智が視力を失ったのは自分のせいだと責め続けるが、夫と他の子供たちに励まされ、智の成長につれて、意思疎通の手段としての指点字を見つけることで自分を取り戻していく。

令子を演じた小雪の演技が素晴らしい。智が自分を見失いそうになりながら冷静に将来を考えられるようになるまでの過程も、映画という短い時間の中で、丁寧に描かれている。本作では大学受験を決意して以降の話は省略されているが、成長の過程と同様の苦労があったのだろうという事が推測される。

ただ母と息子の交流を見ていると、困難を克服した様子までもが想像される。筆者はこれまで福島氏を存じ上げなかったが、、生きていくことに熱意を持つ姿に感銘を受けた。それを支えた家族の力にも。多くの人に元気を与える作品だと思う。

映画「桜色の風が咲く」のキャスト

小雪

田中偉登

吉沢悠

映画「桜色の風が咲く」のスタッフ

監督
松本准平
脚本
横幕智裕
製作総指揮
結城崇史