©2019「ひとよ」製作委員会
11月8日（金）全国ロードショー
映画『ひとよ』のシニアおススメ度
映画『ひとよ』のあらすじ
子どもたちの幸せを守るため、愛する夫を手にかけてしまったこはるに対し、元々稲村家で営業していたタクシー会社を受け継ぎ「稲丸タクシー」として切り盛りする社長の丸尾進（音尾琢真）や、事務員の柴田弓（筒井真理子）は、「何も悪くないよ」と肯定。こはるの帰りを15年間待ち続けた園子も、「お母さんはあの人から私たちを助けてくれたんじゃん！」と必死に叫ぶ。しかし、稲丸タクシーの事務所には事件に関するゴシップ記事のコピーが大量に張り付けられ、新人ドライバー・堂下道生（佐々木蔵之介）はハンドルを握りながら絶叫し、園子が雄二に摑みかかるなど、こはるが帰ってきたことによって、何やら不穏な様子も…。
一方、吃音が原因で人とのコミュニケーションに苦手意識を持つ大樹は、二三子（MEGUMI）との夫婦関係が上手くいっておらず、15年前の事件も引きずり苦しい日々を送っている。こはるを許すことが出来ず、家族の元を離れ、東京でしがないフリーライターとして働く雄二は、「散々嫌な思いしてきたんだから、飯のタネにして何が悪いんだよ」と悪態をつく。こはるは「自分のしたことを疑ったら、子供たちが迷子になっちゃう」と漏らすが、子供たちの幸せを守るためと信じてとった彼女の選択は、果たして正しかったのか…
全てを狂わせた夜から15年、3兄妹は複雑な想いを抱えながらこはると向き合うことになる
映画『ひとよ』をシニアが見た素朴な感想
子供たちを夫のＤＶ被害から守るため母は殺人を犯す。その信念が、その後の子供の運命を狂わす。男の子と女の子ではとらえ方が異なる。
１５年後に約束通り母が帰宅した時には子供たちは複雑な感情にとらわれる。何ともやるせない物語だ。母親役の田中裕子の存在感がすごいの一言に尽きる。
筆者がまだ頭髪が多く残っていたころ、高倉健と共演していた頃も信念の塊のような女性役をやればはまり役だった記憶があるが少しも変わっていないことに驚かされる。
自分の信念を疑ってしまうと、これまでの自分の存在が崩れるのかもしれない。そのように思いながら観賞していた。三人の子供もいい味を出していた。
鈴木亮平、佐藤健、松岡茉優、複雑で個性豊かな性格を上手に表現していたと思う。本作品の監督作品を観賞するのは「彼女がその名を知らない鳥たち」「孤狼の血」に次いで三作目だが、毎回人間の描き方に驚かされる。家族の絆がテーマとのことだが、殺人を犯した母を迎えた子と母の絆は？各人で確認してほしい。
映画『ひとよ』のキャスト
佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優、音尾琢真、筒井真理子、浅利
映画『ひとよ』のスタッフ
監督：白石和彌
脚本：髙橋泉